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韓国の古いCMソング

ソースはADIC(韓国広告団体連合会の広告情報センター)。年代を特定できなかったのは、おそらく1960年代前半〜半ばのものです。
はっきり言って音質はADICにあるMP3形式のほうが上ですが、ファイルのダウンロードができないのと、データ数があまりに膨大で探すのに苦労するのとで、いくつか個人的に気になっているものを力ワザで採取し、再エンコードしました。ちなみにADICは現在、韓国の住民登録番号を持っている人しか加入できないので、今後は追加などはありません、たぶん。

ABC化粧品/太平洋化学工業社(1960年代前半)

MIDIクモンカゲのほうでもご紹介している曲の原曲です。「ABC」は今の「アモーレ」ブランドのルーツにあたります。

七星サイダー&スペシコーラ/東邦清涼飲料(1960年代半ば)

50年以上もの歴史を誇る透明炭酸飲料「七星サイダー」の製造元の会社名は、現在は「ロッテ七星飲料」ですが、もともとは「東邦清涼飲料合名会社」で、現社名に至るまで「七星飲料工業」、「七星韓美飲料」などを経ています。
その七星が東邦清涼飲料時代の末期にペプシコーラとボトラー契約するまで、「スペシコーラ」というオリジナルブランドのコーラを作っていました(原液は輸入していたようです)。七星飲料になってから「七星コーラ」と名を変え、韓美食品(東邦清涼飲料がペプシのボトラーとして立ち上げた別働隊)と合流して七星韓美飲料となるまで生産されていました。商品名が変わったのは、ペプシとの商標トラブルを避けるためだったそうです。

ドレスミシン/東洋ミシン製造(1960年代)

今や「ミシン」という単語自体に懐かしさを覚えてしまいますが、かつては嫁入り道具の代表格だったこともありました。
韓国でも富裕層の間では同様だったようで、この歌も嫁入り前後から、やがて母となる女性を歌ったものです。ちなみに東洋ミシンは韓国機械(後の大宇重工業)に吸収された後に再び分離され、ドレスミシン(株)として営業を続けていたようですが現在の動向は不明。

エビオゼ/三一製薬(1960年代)

いま韓国で40代から60代の人々にとって、「エビオゼ」と「元気素」というのはとても懐かしい響きを持っているようです。
エビオゼとはビール酵母で作られた発酵製剤の胃腸薬兼栄養剤で、名前からもわかるように、日本統治時代の朝鮮でも非常に売れていたという「エビオス」(大日本麦酒→朝日麦酒・製造、田辺製薬・販売を経て現在はアサヒフード&ヘルスケア社が製造・販売)のコピージェネリックです。ちなみに、このエビオゼは今も現役商品です。

フェスタル/韓独薬品(1960年代)

韓独薬品はドイツの旧アベンティス(現在はフランスのサノフィ・サンテラボに吸収合併され「サノフィ・アベンティス」に)と韓国人オーナー経営者の合弁企業で、戦後設立の韓国の製薬会社としては最大手で、外資系企業としても古参の部類に入ります。アベンティスのルーツ、ヘキストの時代に開発された消化胃腸薬「フェスタル」は、今も韓国で最も有名な大衆薬のひとつです。歌にも出てくる「フェスタルがあるから、思い切り召し上がれ!」というコピーは70年代はじめまで使われていたようです。

グロンサン・デラックス/三省製薬(1960年代)

「グロンサン」は日本では中外製薬の商標ですが、韓国では「グルクロノラクトン」を使った滋養強壮剤の一般名称になってしまったようですね。過去も含めて少なくとも5社ぐらいからグロンサンと名の付いた薬が出ています。
三省製薬は1920年代創業の歴史のある製薬会社で、かつては婦人薬「三省調血精」や殺虫剤、現在は「ガス命水」(ガス活命水とは競合関係にある別の商品)で有名です。このグロンサン・デラックス(日本にもグロンサンDXというのがありましたが…)はもう作っていないようです。

ヘモグロン/鍾根堂製薬社(1960年代)

貧血治療薬。ヘモグロビン(赤血球の主成分)からの連想で造血作用を促進する薬、という意味のネーミングでしょうか。
韓国の製薬業界で5指に入る「鍾根堂」は、李鍾根という人が1941年に創業した医薬品卸業が原点です。創始改名で「宮本」姓を名乗っていたようで、当初の商号は「宮本薬房」でした。戦時中の統制組合への強制加入・合併を経て、解放後に「鍾根堂薬房」として再起、「活命水」の代理店として大儲けしたものの、製造元の同和薬房(現・同和薬品)から偽造品を売っていたのではないかと訴えられ(判決は無罪)、それをきっかけにメーカーへの転身を図ったのだそうです。
ちなみにPCマニアな人にはおなじみの米国Diamond Multimedia社は、李鍾根氏の実弟で、鍾根堂の専務も務めたことのある李鍾文(Chong-Moon Lee)氏が渡米して創業した会社です。現在Chong-Moon Lee氏はAmbexというベンチャーキャピタルを経営しているようです。

アイデアルミシン/新韓ミシン製造(1960年代)

「ドレス」と並ぶ韓国製ミシンの2大ブランド・アイデアルミシン。少なくとも70年代末までは存在したことを確認していますが、その後のことはわかりません。歌のほうは「世界に輸出するアイデアルミシン」「愛そう国産品、アイデアルミシン」などとどこまでもアイデアルミシンを褒め称え、愛用を訴える内容となっています。

真露焼酎(元祖バージョン)/西光酒造(1960年代)

どうやらこれが韓国初のCMソング(初出1959年)の、現存する最も古い録音のようです。いま韓国ではTVやラジオなどの電波媒体で酒類のCMソングを流すことはできないため、映画館などに限られますが、現在もこのメロディは使われています。最初、最長寿かつ最高のCMソング、確かに抜群の完成度だと思います。歌詞がクモンカゲのものと違う点にも注目。「貧しい我らのボーナス♪」とはまたストレートな…

コリナミン/鍾根堂製薬社(1960年代)

活性ビタミンB剤。商品名の由来は「コリア」+「アリナミン」? このコリナミンはもうないようですが、ライバル商品の「アロナミン」(日東製薬)は今も「アロナミン・ゴールド」として健在です。

美美レオクリーム/高麗化学工業社(1960年代前半)
美美クリーム&ローション/高麗化学工業社(1960年代前半)

これもMIDIクモンカゲで紹介していますが、「美美」は1960年代前半まで「ABC(後のアモーレ)」と並ぶ化粧品の有力ブランドだったようです。
曲も歌詞も商品名の部分以外はほとんど同じですが、「オモナ〜」(あらまぁ、といったニュアンスの感嘆詞)が微妙に違っているのが印象的です。(笑)

味元/味元(1960年代)

朝鮮や台湾の日本統治時代に、現地でも爆発的に売れていた化学調味料「味の素」は、解放後に現地の多くの企業によってコピーされましたが、「味元」はその中でもっともメジャーな商品ではないかと思います。

セロウンパス(新しいパス)/全一薬品(1960年代)

貼り薬。文字通りユニークな商品名は、「サロンパス」からインスパイアされたのかもしれませんね。あるいは「(サロンパスより)新しい」パスという意味なのか。
セロウンパスの製造元・全一薬品工業は後に同業の貼り薬メーカー・新信製薬と合併して「新信全一製薬」となりましたが、現在は「全一」が消えてただの「新信製薬」となり、商品も「新信パス」が残って「セロウンパス」は消滅の憂き目に遭ったようです。

パンピリン/東亜製薬(1960年代)

現在も「パンピリンF」としてメジャーな、液体のかぜ薬です。1950年代からあったようで、結構古い薬だったのですね。
パンピリンといえばこちらもぜひどうぞ。

サンプーン(1960年代)

穴の空いた錠剤。日本のエーザイから導入。日本では1948年発売だそうです。商品名の由来は、もしかして「3分で溶ける」からと疑問に思って調べてみたら、マジでそうらしいです。ちなみにサンプーンは後年ハニル薬品に技術供与され、「サンループ」の商品名で結構長い間(1990年代まで?)売られていたようです。

セムピョ(泉印)醤油/セムピョ醤油醸造場(1960年代)

代表的な醤油のブランド。これまたMIDIクモンカゲで紹介している曲の原曲。おそらく最も古い録音だと思われます。

ビタM/柳柳産業(1960年代)

総合ビタミン剤。「マルチビタミン」という意味のネーミングでしょうか。
柳柳産業は柳韓洋行の子会社で螺鈿細工などの工芸品製造・輸出を手掛けていた1941年設立の「柳韓貿易」が独立(創業者兄弟の仲違い)してできた会社で、独立当初は「柳韓産業」と名乗っていました。1950年代の柳韓洋行の広告には、両社の対立を匂わせるような表現のものが目立ちます。たとえば「柳韓洋行は『柳』ではじまるどの会社とも無関係です」とか、柳韓洋行で商標登録されているマークと商品名を並べたものとか。

活命水/同和薬品(1960年代)

韓国最古の医薬品ブランド、韓国最初の製造会社など数々のタイトルを保有する同和薬品(1897年創業)の代表製品で、液体の胃腸薬です。後に炭酸入りの「ガス活命水」(現存)や、ビタミン・チオクト酸入りで栄養ドリンク剤を兼ねる「アルファ活命水」(こちらは生産中止になった模様)などのバリエーションが追加され、現在も韓国の国民的な医薬品のひとつとして君臨し続けています。100年を超える歴史。すごいですね。
韓国では「バッカスF」のようないわゆる栄養ドリンク剤をはじめ、この活命水に代表される胃腸薬、「パンピリン」のようなかぜ薬など液体のものが好まれていますが、そのルーツをたどると、すべて活命水に行き着くのではないかと思われます。

元気素/ソウル薬品(1960年代)

「エビオゼ」が「エビオス」のコピージェネリックなら、こちら「元気素」は「わかもと」のコピージェネリックです。朝鮮戦争後の1950年代後半から60年代末にかけて一世を風靡した酵母製剤。味がよかったようで、当時の多くの子供たちに親しまれたようです。お菓子代わりに1日で1瓶(300粒とか1000粒ですよ)を食べてしまった子供も多かったようで、後の韓国の急激な経済発展は「元気素」パワーのおかげだったのかもしれません。(笑)
ソウル薬品はこの「元気素」や「スムース」などの胃腸薬のほか、鎮痛剤「サリドン」も作っていたことがあるようです。韓国での「サリドン」は、後に鍾根堂を経て現在は韓国ロシュ社が製造・販売しています。ちなみにソウル薬品は1980年代に廃業してしまいましたが、2005年に旧社の関係者が同名の新会社を興し、再起を図ろうとしているようです。


韓国のTV-CMより(音声のみ)

個人的に気になっているものです。ソースはやはりADIC(広告情報センター)。「ルル」にはぶったまげました。♪韓国の風邪にもルルが効く〜(笑)

ルル/ハニル薬品(1970年代前半)

ハニル薬品(当初は「韓逸」と書いていたようですが、現在はハングル表記が正式社名のようです)のかぜ薬といえば、現在は「ファイトゥーベン」ですが、昔は「ルル」を売っていたこともあったのですね。

ユベラ/ハニル薬品(1970年代前半)

この「ユベラ」は、日本のエーザイ(株)が開発したビタミンE製剤がハニル薬品に技術供与されたもので間違いないと思いますが、これら2本のCMは、薬品CMソングの禁止(1976年)の直前ぐらいに作られたものではないかと思われます。この歌を歌っていると思われる2人組が誰なのか気になります。情報求む。
↑の解説を書いた後で判明した情報。
日本では1938年から発売されていたのだそうです。写真にかすかに「ラベユ」(右からですよ(笑))とあるのが読めます。

ジェラ石鹸/ラッキー(1970年代後半)

この商品は見たことがありません。CMの作りから推測するとカラー化(CMは81年春から)の直前ぐらいに作られたものと思われますが、「♪トコフェロール(ビタミンE)たっぷり〜」という歌詞が印象的です。石鹸に配合されたビタミンEが皮膚から吸収されるのかどうかは知りませんが。(笑)

七星サイダー/ロッテ七星飲料(1977年)

出演しているのは、70年代後半に最も人気のあった歌手のヘウニです。この有名なCMソング(吉屋潤作曲)のほうも、本人が歌っています。

ババムバー/ヘテ製菓(1978年)

栗味のアイスキャンディー。出演しているのは、70年代後半から80年代はじめにかけて人気のあった女優の丁允姫です。歌のほうは同時期に活躍した李銀河という歌手が歌っているようです。ババムバーは今もあり、結構な人気商品です。

三岡チューチューバー/ロッテ三岡(1978年)

この曲は、70年代末頃にラジオでがんがん流れていました。個人的には非常に懐かしいです。ちなみに「チューチューバー」というのは、日本でいう「棒ジュース」(氷菓)の一種です。確認していませんが、たぶん今も現役商品だと思います。
「ロッテ三岡」はこのCMが制作される直前に「三岡産業」から社名変更したばかりで、七星飲料と同じく、もともとはロッテ系の会社ではありません。かつて「アイスケーキ」と呼ばれていた氷菓を、韓国で初めて工業的に大量生産した会社として知られています。


The KYUNG-A Labs Archives
Updated : September 30, 2004
Converted to AAC : March 12, 2013