Windows NT 4.0ではWindows 9xとは異なり、2バイト系言語(ハングル・日本語・中国語簡/繁体字)についても各言語のコードページを切り替えることが可能になっています。内部Unicode処理の国際化OSならではの仕様といえます。
この仕様を利用すると、コードページがコマンドひとつで変更可能なセッションであるコマンドプロンプト、つまりWindows 9xでいうところの「MS-DOSプロンプト」をハングルの扱える状態にすることが可能となります。
ただし、NT 4.0のDisc 2(Workstationの場合)で提供されているLanguage Pakか、もしくはInternet Explorer用のハングルサポート(IE3用、4用いずれも可)がインストールされていることが前提です。
【手順】
これでフォントがGulimCheに変更された、C:>のコマンドプロンプトのできあがりですが、これだけではうまく行かないのが、いかにもMS製品らしいですね。(笑)
5. でできたプロンプトを単に開いただけでは、一見コードページ949のハングルKS完成型プロンプトにしか見えませんが、DOSアプリケーションではハングルがまともに読めないという中途半端な状態です。アプリでハングルが読めるようにするには、起動後にchcp 949を実行するか、またはルートにでも「chcp 949」とだけ書いたバッチファイルを作っておき、ショートカットアイコンのプロパティから「ショートカット」のページの「リンク先」に、
%SystemRoot%\system32\cmd.exe /k c:\949.bat
のように設定し、ショートカットの起動と同時に実行してやるようにすればよいでしょう。
たぶんこの状態では、アレアハングルやイヤギ方式でない(フォントを自前で持っていない)ハングル・テキストモード用のDOSアプリのほとんどは実行できません。画面モードそのものはDOS/V互換となっており、ハングルや英語表示(韓国のDOSアプリは英語表示と互換性のある状態、日本で言えば昔のAX仕様マシンのDOSと同様な画面モードで実行されます)との互換性がないためです。動くとすればDOS/V用ソフトと、DOSのファンクションコールだけを使って表示しているテキストアプリに限られます(当初「動くかもしれない」としていましたが、この点に気付いたのはしばらくたってからでした。お詫びして訂正します)。いずれにしても、ハングルを入力する手段がありませんね。(笑)
ひょっとしたら昔のDOS用ハングル入力専用(表示機能のない)FEPが使えるかもしれませんが、今となっては探すのも大変ですので、試していません(ハングルWindows 95のHCODEは動作しませんでした。SETVERしたりNLSFUNCを組み込んだりすればとりあえずHCODEをロードすることは可能ですが、ハングル入力はだめでした)。現実にはテキスト表示用ぐらいにしか使い道がなさそうですが、日本語OS上にハングルテキストの読めるDOSプロンプトができるのは、なんとなく嬉しいものがあります。ハングル・コンピューティングをEnjoyするというこのページのテーマにもふさわしいので、掲載することにしました。
なお、全画面表示はできません。全画面用のハングルフォントがないからです。<Alt+Enter>で全画面にするとコードページ949のまま日本語システムフォントで表示されてしまうという、奇妙な状態になります。
このプロンプト上ではWWWのテキストブラウザであるLynxのDOS/Win32版が動作し、ハングルのホームページが表示できます。詳しくはこちらをどうぞ。
80桁×25行では画面が狭いと感じるなら、MODEコマンドを実行して画面を拡げるとよいでしょう。
MODE CON COLS=[桁数] LINES=[行数]
プロパティの[レイアウト]ページからも設定することができます。
下に画面写真を1枚付けておきますが、UnicodeベースのOSらしく、日本語版NTのコマンドプロセッサの出す日本語メッセージがそのまま表示されています。「ボリューム」が「ボリュ□ム」、「番号」が「番□」となっているのは、現状のハングルフォントに日本語から置き換え可能な文字が含まれていないためです。
文字コードセットは禁断のMS統合型ハングルですから、あの「」も読めています。(笑)
ちなみにNTではコントロール パネルの「地域」でシステムそのもののコードページやロケールを変更できますので、日本語版NTをハングル版相当の内部構成にすることも可能ですが、日本語版NTにはハングルのシステムフォントが載っていない上に、いろいろと危険が伴いますのでお勧めできません。
たとえば、本来日本語であるはずのアイコン名が読めなかったり、デスクトップの配置が勝手に初期化されてしまったりというふうなトラブルの原因となります。あと、日本語入力もできなくなります。はっきり言ってメリットは何もありません。それでも試してみたいという方は、自己リスクでどうぞ。